語学教師の失敗

今年の1月に、一人の高齢の女性がフランス語を習いたいと、
教室を訪ねて来ました。彼女の話を聞くと、これまでフランス語

を学んだことはないが、趣味で歌を歌っているので、いつか
フランス語で歌を歌いたいので、フランス語を教えてくれる教室

を探しているとのことでした。それで無料体験レッスンを受けて
もらい、数日後、彼女から連絡があり、2月からレッスンを始め

たいとの事で、レッスンが始まりました。私たちのスクールでは、
外国語を習得するためには、外国語を日本語に置き換えたり、

日本語から翻訳して外国語を学ぶのではなく、学習言語を使って
学び習得する直接教授法を基本的に採用しています。基本的にと

いうのは、文法のクラスでは学習言語での説明の後、日本語で
説明を補足することもあるからです。しかし、彼女の場合は高齢

ということもあり、少しは日本語も使い、学習進度も普段の
3分の1以下のスピードで進めたのですが、4月になってレッスン

を止めたいと彼女から手紙が来てしまいました。「一度に全て
分からなくてもいいですよ。ゆっくり進みますから、続けている

と後でできるようになりますよ。」と何度も彼女を励ましていた
のですが、彼女の学びたいという気持ちを挫いてしまい、失敗

したとショックでした。生徒の外国語を学びたいという気持ちを
育てるのではなく、その芽を摘んでしまったことがショックでした。

それで、申し訳なかったという気持ちで彼女に返事の手紙を書き
ました。すると彼女から返事があり、「現在は、NHKのラジオ

講座で勉強しています。内容も進み方も私にちょうど良いようです。
貴講座は私には高度だったように思います。」とありました。反省

しきりです。私も学生時代、英語が出来なかったので、外国語を
学ぶ初心者の気持ちは充分分かるつもりで、「分からないから

学びに来ているんですよ。間違わないで外国語が上手になる人は
いませんよ。」と、生徒を常に励ますように心掛けているのですが、

まだまだ細かい配慮が足りなかったと反省しています。教え過ぎ
ないように気を付ける事も、教師の大切な役目です。

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