子どもをバイリンガルに育てる方法

リンガル(日本語と英語)に育てようと、
子供たちに早期の本格的英語教育を始める親たちが増えています。

そのためにどのような方法があるのか、それらの方法とその功罪について、
考えてみたいと思います。様々なケースがありますが、大きく以下3つの

ケースを取り上げて見ます。

? インターナショナル・プリスクール 対象:0歳児〜未就学児

 共通言語が日本語ではなく英語が使われる保育所です。学習言語
にどっぷり浸かる一種のイマージョン教育です。毎日、或いは週に数日、

英語に1日3時間から8時間浸かるので、毎日通う場合は、日本に居ながら
ネイティブ的な環境が実現するので、英語習得には理想的な環境と

思われがちですが、問題も幾つかあります。まずは一部の優れた施設
を除いては、外国人の殆どのスタッフは、幼児教育についてはまったく

の素人であるということです。もちろん例外はありますが、幼児教育
という視点からは心配な点が多々あります。次の問題点は、小学校に

入ってからの子供たちの英語力の維持向上のためのホローが余り充実
していないということです。プリスクールを出た子どもの殆どは、

地域の小学校に入学しますが、子どもたちはそれまでのように英語
に浸かる時間を多く持てません。多くの親たちが、苦労して身に付

けた子どもたちの英語力の維持向上のための受け皿探しに苦労します。
多くは英会話スクールの扉をたたきますが、帰国子女のクラスは難し

すぎるし、かといって普通の小学生クラスでは易しすぎます。そのため、
費用が高い個人レッスンを受けたり、遠方のスクールへ通ったりして

いるのが現状です。しかし大変ニーズが高いので、たとえ費用が高くても、
これからもこの種の施設は増えていくと思われます。

? インターナショナルスクール 対象:小学生・中学生・高校生

 元来、在日外国人の師弟の教育を目的として設立されているので、
数が少なく、しかも日本人枠に10%から20%という定員枠があります。

公的補助がありませんので、年間150万から200万円の授業料がかかります。
それに、学校と家庭との連絡は英語のみですので、両親とも或いは

少なくても両親のうち一人は英語が堪能でなければ、入学は許可されないようです。
これまで日本の大学への進学が大検を受ける以外閉ざされていましたが、

最近は改善されてきました。しかしバイリンガルという意味でも、
今度は日本語の習得という問題があります。家庭での日本語教育が

大変重要になります。しっかり読み書きを含めた日本語教育をしないと、
日本語でまともな文章が書けない日本人が育ってしまう危険があります。

? 海外滞在 対象:0歳児〜中学生
  
 前回のコラムで取り上げた、父親の海外赴任に伴い家族全員で海外
滞在をするケースではありません。基本的には父親は仕事の関係上、

日本に残り、母親と子どもだけで子供をバイリンガルに育てることのみ
を目的に海外生活をします。私も、初めてこのケースに出会った時は、

これはめったにない特殊なケースだと考えましたが、たびたびこのケースに
出合う内に、それ程特殊ではないということが分かってきました。これには

二種類のタイプがあります。一つは母子で英語圏に何年か生活します。
そして休みのときに日本に帰ってきたり、父親が滞在先を訪ねたりします。

二つ目は、日本の学校に在籍しながら、海外にしばしば出かけ、2ヶ月とか
3ヶ月過ごして日本に帰ってくることを繰り返します。どちらも経済的にも

精神的にも家庭の負担や犠牲が大変だと思いますが、どうでしょうか。
このようなことが実現できる経済的な豊かさがあることと、そしてそれ程の

切実な思いが親にあることが、このケースを可能にしていると思いますが、
子供の成長や家族の絆という点では、少し考えさせられるケースではあります。

 以上、3つのケースを考えてきました。どのケースも親は子供の
将来を考えて選択した行動だと思います。子どもには英語が使えない

という自分がした苦労はさせたくないから、これからの国際社会では
英語がどうしても必要だからと、親の思いは切実で、子弟の英語教育

に多くの親が真剣に取り組んでいます。しかし親や子どもが払う負担や
犠牲に見合うものが、はたして得られているでしょうか。多くのケースで

疑問に思います。私自身、語学スクールを設立し運営し、2歳の幼児から
83歳の方に外国語を教えていますが、理想の語学教育とは何か、常に

模索しております。一番大切なことは楽しく学ぶことと、10歳を過ぎたら
学ぶ目的意識や必要性を持つことが、多言語習得への道ではないでしょうか。

言葉は言葉のみで独立して存在しているものではなく、社会の中で他者や
自分との関わりの中で常に変わりながら存在しています。言葉は、特に

子どものときは、精神的に豊かな環境で習得することが最も大切です。
自分が英語が喋れないから、子供に自分のようになってほしくないからと

考えるのではなく、どうぞ子供だけに英語運用能力習得を求めるのではなく、
お父さんもお母さんも一緒に、英語運用能力を習得する努力をなされてください。

その親の姿勢が、子供が高いレベルで外国語運用能力を身に付ける大切な要素です。
そしてどうぞ、ご家族全員で外国語運用能力習得過程を楽しんでください。きっと

子供たちはバランスの良い世界で通用する大人に育ちます。
                           

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